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COLERE JOURNAL(コレレジャーナル)

弁護士藤森純が運営するブログです。文化と法律の関わり方について考えていきたいです。

特定遊興飲食店営業の立地要件(地域規制)に関して

【この記事のポイント】

(1)平成27年5月27日の衆議院内閣委員会で風営法改正案が可決された。今後、衆議院本会議で通過し、参議院でも可決されれば、本年6月中にも、風営法改正が実現する見込み。

(2)衆議院内閣委員会において、秋元司議員、寺田学議員らから、風営法改正案の問題点などについて、警察サイドへの質疑が行われた。

(3)特定遊興飲食店営業の立地要件(地域規制)に関して、警察サイドは営業延長許容地域を参考にしようと考えている模様。

風営法改正案が衆議院内閣委員会で可決

久々のエントリーです。 風営法の改正に大きな動きがありました。

 

平成27年5月27日に衆議院の内閣委員会が開催され、 従前に閣議決定されていた風営法改正案が賛成多数(共産党以外の各会派が賛成)で可決されました。*1

なお、風営法改正案について決議されると共に、照度の測定方法や店舗の面積要件に関して具体的に定めることや、地域住民の意見に配慮することを求めた附帯決議も行われました。

今回の衆議院内閣委員会では、秋元司議員や寺田学議員を初めとする議員らから、警察サイドに対して、各種懸念事項に関して質問がなされました。

ここで明らかにされた各種の問題点に関して、これから数回にわけて検討していこうと思います。

特定遊興飲食店営業の立地要件は?

今回は、特定遊興飲食店営業についての立地要件(地域規制)についてです。

秋元議員からは、辻義之警察庁生活安全局長に対して、特定遊興飲食店営業の立地要件に関して、現行風営法の営業延長許容地域を参考にして定めるのかという点が、質疑されました。

これに対して、辻局長からは、具体的な地域に関しては都道府県が条例で定める形になるものの、それを定めるための基準に関して、営業延長許容地域の大規模繁華街という基準が参考になるとの見解が示されました。

営業延長許容地域とは?

ここで出てきた「営業延長許容地域」という概念がどのようなものなのかを見てみましょう。

現行風営法において、風俗営業は、深夜0時以降は営業できないと定められているため、 深夜0時までには営業を終えなければなりません。

ところが、これには一定の例外があり、その一つとして、「営業延長許容地域」として定められた地域に関しては、深夜1時まで、営業を延長することができるとされています。*2

この営業延長許容地域は、政令で定める基準に従い都道府県の条例で定められることになります。*3

東京都の場合は、条例により、東京都公安委員会が告示する地域で指定するものとされています。*4

東京都公安委員会が告示する地域は、下記の画像のとおりです。

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ここに記載された地域のうち、(1)商業地域であり、かつ、(2)住居集合地域からの距離が20メートルを超えているところが、営業延長許容地域になります。

現行風営法の3号営業の許可を取れる地域が、商業地域および準工業地域であることからすると、営業延長許容地域の範囲は、かなり狭められていることがわかると思います。

風営法で、特定遊興飲食店営業を行える地域が、上記の営業延長許容地域に準じた場所に限定されてしまうと、現在風営法の3号営業の許可を取得している店舗でさえ、場合によっては、特定遊興飲食店営業の許可を取得できない可能性が出てきます。

この点に関して、私個人としては、問題があると思っています。

今回の風営法の改正に伴い、建築基準法も改正されるのですが、建築基準法の改正により、以前は商業地域および準工業地域にしか建てることができなかったナイトクラブが、映画館等と同様の地域まで建築することができるようになります。

それにもかかわらず、風営法により、特定遊興飲食店営業の営業可能な地域が現行の営業延長許容地域相当までに絞られてしまえば、今回の建築基準法の改正の趣旨を損ないかねないのではないでしょうか。

私個人の見解になりますが、特定遊興飲食店営業については、近隣商業地域、商業地域、準工業地域ぐらいまでを営業可能な地域とするのが、特定遊興飲食店営業の営業可能範囲をできるだけ広く認めつつ、住居集合地域における住民の住環境の保護も図ることができ、ある程度バランスのとれた考え方なのではないかと思っております。

このように、特定遊興飲食店営業の立地要件について何が妥当なのかについては、今後、政令や条例を定めていくにあたって、議論を続け、過度な規制がなされないよう注目していく必要があると思います。

*1:共産党は、警察による恣意的な介入を招く恐れがあり「改悪」になるとの懸念を示し、風営法改正案に反対しました。

*2:風営法13条1項

*3:風営法13条1項、風営法施行令7条の2第2号

*4:東京都風営法施行条例4条の2、東京都風営法施行条例施行規則4条