COLERE JOURNAL(コレレジャーナル)

弁護士藤森純が運営するブログです。文化と法律の関わり方について考えていきたいです。

【2016年3月版】2016年6月の改正風営法施行までの流れ

【この記事のポイント】

(1)2015年6月17日に改正風営法が成立し、同月24日に公布された。

(2)改正風営法の施行は、2016年6月23日から。

(3)改正風営法により新設される特定遊興飲食店営業の許可申請受付開始は、2016年3月23日から。

改正風営法が2015年6月17日に成立、同月24日に公布、施行は2016年6月23日。

久々の更新になりました。

本ブログのアクセス解析を見ますと、「2016年6月の改正風営法施行までの流れ」というエントリーを一番ご覧いただいているようです。

ところが、同エントリーは2015年8月27日に書かれたもので、現在(2016年3月)では古い内容となってしまっています。

このため、同エントリーのアップデート版として、本エントリーを書きたいと思います。

2015年6月17日に改正風営法が成立し、同月24日には同法が公布されました。
同法の施行*1は、2016年6月23日からです。

改正風営法のうち、ダンス教室、ダンスホールなど「設備を設けて客にダンスをさせる営業」(現行風営法2条1項4号)(いわゆる4号営業)に対する規制については、6月24日の公布と同時に施行されました。このため、ダンス教室、ダンスホールなどに対する風営法の規制は、すでに撤廃されています。

社交ダンス業界の皆さんは、クラブに対する風営法の規制が問題視される以前から、風営法の規制を疑問視し、改正に向けて動いていました。今回の風営法改正も、社交ダンスの業界の皆さんの尽力あってこそ、実現できたものといえるでしょう。

一方、クラブなどに対する規制である「設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」(現行風営法2条1項3号)(いわゆる3号営業)については、2016年6月23日の改正風営法施行までは、現行法の規制が残ったままとなります。

 では、なぜ改正風営法のうち4号営業に関する部分については、改正風営法の公布と同時に施行され、3号営業に関する部分については公布から1年後の2016年6月23日の施行となるのでしょうか。

それは、4号営業に関しては、風営法による規制が完全になくなるだけで、新たな規制が設けられるわけではないため、公布と同時に施行することが可能であるのに対し、3号営業に関しては、規制がなくなると共に、特定遊興飲食店営業という新たな営業形態に関する規定が設けられるため、政令などで具体的な許可取得の要件などを定める必要があるからです。

 以前のエントリーでもお伝えしたように、クラブや踊れるレストランのような「飲食+ダンス」という営業形態は、風俗営業として規制されてきましたが、今回の改正により、風俗営業からは外れます。

また、日本では、「飲食+ダンス」という営業形態が風俗営業とされ深夜営業が禁止されていたのと同時に、深夜に営業する飲食店で、客に遊興*2させることは禁じられています。このため、日本では、深夜に、客に飲食をさせつつ、客に遊興させるという営業形態は許されていませんでした。ところが、今回の改正風営法で新設される「特定遊興飲食店営業」という新たな営業形態により、飲食店でお酒を提供しつつ深夜に客に遊興させることが可能となりました。*3

 「特定遊興飲食店営業」の許可取得要件は、風営法の中だけで決められるわけではなく、政令、国家公安委員会規則、各都道府県の条例、各都道府県の公安委員会規則、風営法の解釈運用基準などで具体的に定められていくことになります。

2016年3月23日から「特定遊興飲食店営業」の許可申請の事前受付が開始されるため、本年に入ってから急ピッチで各都道府県の条例などの整備が行われています。東京都を例にとると2016年3月3日に条例*4が議会で可決されました。

2016年6月の施行までの流れ

それでは、昨年の改正風営法成立から、施行までの流れを時系列でざっと書いておきます。

2015年5月29日 改正風営法衆議院で可決
2015年6月17日 参議院でも可決→改正風営法成立
2015年6月24日 改正風営法公布(4号営業の規制削除に関連するものは即日施行)
2015年11月13日 政令などが公布*5
2016年2月1日 風営法解釈運用基準について通達*6
2016年3月 各都道府県にて条例などが制定
2016年3月23日 特定遊興飲食店営業事前申請開始予定
2016年6月23日 改正風営法施行予定

本エントリーを書いているのは2016年3月5日ですが、そろそろ多くの都道府県で条例などが公布されることになり、具体的にどこで特定遊興飲食店営業を行うことができるのかなどがはっきりしてくると思います。

個人的な見解では、特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域の指定がかなり狭まってしまっているように感じていますので、今後、どのように見直していくのが妥当なのかについて、引き続き検討していきたいと考えています。

また、私が東京在住なこともあり、どうしても東京都の情報中心での情報発信になってしまっていますが、各地の状況などについても知りたいと思いますし、ここがどうなっているのか知りたいというご要望があれば調査も行っていきたいと思っております。

引き続き、宜しくお願い申し上げます。

*1:施行とは実際に法令の効力を発生させることをいいます。

*2:ダンスもこれに含まれます

*3:「特定遊興飲食店営業」は、風営法の中で定められてはいますが、風俗営業ではなく、別の営業形態と位置付けられています。

*4:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例

*5:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成27年政令第381号)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成27年政令第382号)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(平成27年内閣府令第65号)、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則(平成27年国家公安委員会規則第20号)

*6:警察庁丁保発第10号、丙保発第3号等