COLERE JOURNAL(コレレジャーナル)

弁護士藤森純が運営するブログです。文化と法律の関わり方について考えていきたいです。

【警視庁】特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域の具体案が提示されました。|改正風営法

【この記事のポイント】

(1)警視庁が改正風営法の施行条例の案について意見募集を開始。

(2)東京都における特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域の案が提示された。

(3)営業所設置許容地域が原則として商業地域に限定されており、特定遊興飲食店の立地規制が厳しくなってしまっている。

 

警視庁による意見募集開始

警視庁は、風営法改正を受けて、東京都における風営法の施行条例の案を提示し、これに対する意見募集を開始しました。

 

意見の提出期間は、平成27年10月14日(水)から10月27日(火)まで。

意見は、こちらから提出できます。

これまで、何度か取り上げてきた警察庁のパブコメは、全国に適用される風営法関連の政令や規則などに関しての意見募集でしたが、今回は、警視庁による東京都の条例の案についての意見募集になります。警察庁と警視庁に関して、簡単に説明すると、「警察庁」は、47都道府県警察を束ねる上位組織であり、「警視庁」は、東京都を管轄する警察組織(組織的な位置づけとしては、各県警などと同列)になります。

このため、今回の警視庁の案は、あくまで改正風営法に基づいて定められる東京都における条例の案になります。

もっとも、東京都における条例の案が、実際上は、全国各地で条例が定められる場合の事実上の基準になりうるものであり、非常に重要な意味を持っています。

特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域

今回の東京都の条例案のうち、もっとも影響が大きいと考えている特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域について、検討したいと思います。

これまでも、特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域がどうなるのかについては、本ブログで何度か取り上げてきたところですが、これに関しての警視庁の具体的な案が示されました。

具体的には、下記の場所においてのみ特定遊興飲食店営業を設置することが可能になります。

ア 営業延長許容地域(現在の営業延長許容地域+「港区西麻布一丁目~四丁目」+「港区麻布十番一丁目・二丁目」)

イ 「近隣商業地域のうち港区六本木四丁目~七丁目」

ウ 「準工業地域のうち江東区新木場二丁目」

 

まず、アの営業延長許容地域は、下記の画像にある現在の営業延長許容地域*1に加えて、「港区西麻布一丁目~四丁目」と「港区麻布十番一丁目・二丁目」が追加で指定される予定です。

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アの住所に該当する中の商業地域においてのみ特定遊興飲食店営業の設置が可能とされることになります。

住居集合地域において特定遊興飲食店営業が設置できないということに関しては、私は問題ないと思っていますが、東京都の条例案では、アの住所に該当する地域であっても、近隣商業地域や準工業地域においては、特定遊興飲食店営業の設置ができないことになってしまっています。これは、条例で不当に特定遊興飲食店営業が設置できる地域を限定してしまっていることになり、問題であると考えています。

また、イとウについては、改正風営法に関するロビー活動の中で営業所設置許容地域とされないと問題であると指摘されてきた地域が追加で入れられた形になっています。

皆様へのお願い

クラブやライブハウスの方で深夜営業を検討されている方や、自分の好きな店舗はどうなるのだろうと心配されているユーザーの皆さんは、是非、上記の表を見て、店舗が上記の営業所設置許容地域に該当するかどうかをご確認ください。

店舗がどの用途地域に該当するのかについては、区や市町村のホームページに掲載されている都市計画図をご覧いただくか、こちらの「都市計画情報等インターネット提供サービス」(都都市整備局)をご覧ください。

もしも、この店舗が営業所設置許容地域にないのは困るというご意見などがあれば、下記のフォームにご記入いただいて送信してください。

 

上記のフォームからお寄せいただいた店舗の情報については、今後のロビー活動の参考にさせていただきます。なお、いただいた店舗の情報に関しては、店舗の具体名等について、警察サイドに提供することはございません。弁護士としての守秘義務を負っている筆者個人の責任で提供いただいた情報については厳重に管理させていただきます。

 上記のフォームには、回答者の方のお名前やEメールアドレスをご記入いただく欄がありますが、こちらについては、ご記入いただかなくても結構です。

お名前などを教えていただいた場合も、回答者の方への改正風営法に関するお問い合わせや情報提供の際に利用させていただくのみで、他の目的では利用いたしませんので、ご安心ください。

今回は、ここまで。次回更新の際も是非ご覧ください。

 

 

 

 

*1:現行風営法のもとで午前1時までの営業時間の延長が可能とされている地域です。